資料番号001

表  題ドイツ空軍航空機用無線装置FuG.7

追加資料
 FUG.7は1935年に開発された短波帯の小型航空機用無線装置である。本機材は送信機S.6a、受信機E.5、電源装置U.4b他により構成され、大戦前期まで戦闘機メッサーシュミットBf-109や、急降下爆撃機ユンカースJu88等に搭載された。FuG.7は同時代にRAFが装備したT.R.9Dに比べ進んだ構造で、受信機にはスーパーヘテロダイン方式が採用されている。

補足資料-1
 収容木箱に収められた送信機(左)及び受信機



 左が送信機、右が受信機。両機は同一の扇型同調ダイアルを備えており、同調調整後は指示器の止めネジで固定する。送信機右側の操作器は空中線同調用である。
 写真提供: photo courtesy of Mr. Michel Payn

FuG.7装置概要
 送信機(S.6a)
 本機は自励式による主発振・電力増幅方式で、発振は三極管REN904、電力増幅は四極管RES664d二本の並列構成で、送信出力は電信で20W、電話で7Wである。発振はハートレー回路の変形で、電力増幅段の同調は変形のπ型同調方式ある。空中線回路には可変式の延長線輪が装置され、機体空中線に1/4波長で同調させる。また、同調回路には検波器回路が結合され、外付けのメーターで送信出力を確認することが出来る。
 電鍵操作は発振管の第一格子制御方式で、変調はREN904による電力増幅管第一格子変調、送話器はカーボン式である。

 受信機(E.5)
 本機は高周波増幅1段、中間周波増幅1段、低周波増幅1段のスーパーヘテロダイン方式で、受信電波形式は変調電信(A2)・電話(A3)である。フロントエンドは高周波増幅管RENS1262及び第一検波管RENS1264により構成され、周波数混合は四極管方式で、カソードに挿入した同調回路を陽極回路と結合し発振を行っている。高周波増幅段、第一検波回路、局部発振各部の同調回路は連結した可変式蓄電器により構成され、同調操作は本蓄電器のみで行う。中間周波増幅はRENS1264、検波はREN904によるグリッド検波方式で、低周波増幅はREN904である。AGCは低周波出力を整流し、制御用電圧として高周波増幅管の第一グリッドに加圧している。また、感度調整は高周波増幅管の第二格子電圧を遠隔で切替可変して行う。

 電源装置(U.4b)
 本機は高圧出力430Vの直流発電機、300Vの交流発電機により構成され、駆動は同一の直流電動機、入力は24Vである。交流300Vは変圧器に入力され、出力側から送信電力増幅段用線條電圧、バイアス用一次電圧を発生させている。

運用操作
 本送受信機は運用に際し事前に同調調整を行い機体に装備する。受信機は同調微調整機構を備えておらず、飛行中周波数の補整はできない。送受信の切替はブレークイン方式で、電鍵又は遠隔操作器により行う。
 
FuG.7諸元
通達距離:対地電話通信、約70Km
周波数:2,500-3,750kHz
電波形式:A1(電信)、A3(電話)
送信出力:電信20W、電話7W
送信機(S.6a): 主発振REN904、電力増幅RES664d x2(並列構成)、第一格子変調REN904
受信機(E・5): スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅一段RENS1264、周波数変換RENS1264、中間周波増幅一段RENS1264、検波REN904、低周波増幅一段REN904
電源: 回転式直流・交流変圧器(入力24V)
空中線: ワイヤー固定式

補足資料-2
 送信機外部・内部構造



補足資料-3
 送信機回路構成図


補足資料-4
 受信機外部・内部構造



補足資料-5
 受信機回路構成図



補足資料-6
 電源装置


資料出典: 独逸空軍FuG.Z、FuG.Za取扱説明書/1941年1月

補足資料-6
 FuG.7機体装備(Bf109)



資料出典: ドイツ空軍Bf109飛行整備説明書


資料番号002

表  題ドイツ空軍戦闘機用無線電話装置FuG.16Z

追加資料
 FuG.16Zは1941年に独空軍が導入したVHF帯無線電話装置で、DF用付加装置ZVG.16、受信機E.16Z、送信機S.16Z、変調機BG.16Z、電源装置FA16E/FA16S他により構成され、送信機、受信機、変調器は一体構造である。本送受信機は38-43MHzの周波数可変方式であるが、運用は4周波数(4CH)を機械式にブリセットして行う。
 FuG.16Zを戦闘機に搭載する場合は、送受信機前面にモーター駆動の遠隔装置を付加する。また、運用は2CHを通話用に、他の2CHをDF・誘導用に使用した。

補足資料-1
 FuZ-16Z装置構成図


 装置左より、DF付加装置ZVG16、受信機E16Z、変調機BG16Z、送信機S16Z。

FuZ.16Z装置概説
 送信機(S.16Z)
 本機は自励式による主発振、電力増幅方式で、発振・電力増幅は五極管RL12P35、送信出力は10Wである。発振はクラップ方式、電力増幅部の陽極同調は並列タンク回路方式で、発振回路とタンク回路は連動する可変式蓄電器により構成されている。空中線同調は空中線装置AAG16で行い、送信出力は変調器に装置されたメーターにより確認する事が出来る。

 変調機BG16Z
本機は音声増幅管RV12P200 及び変調管RV12P200 により構成され、変調方式は第一格子変調、送話器はカーボン式である。

 受信機(E.16Z)
本機は高周波増幅一段、中間周波増幅三段、低周波増幅一段のスーパーヘテロダイン方式で、構成真空管はRV12P200 九本、中間周波数は3.1MHzである。局部発振回路はハートレーの変形でフロントエンドの各段は連動した可変式蓄電器により構成されている。本受信機は通常運用周波数を機械式にプリセットして使用するが、このため、周波数補正用として発振回路に微調整用の可変蓄電器が装置され、受信周波数を±15KHz可変する事が出来る。AGCはAGC制御電圧発生回路出力を高周波増幅管、第一・第二中間周波増幅管の第一格子に加えている。音量調整は第一中間周波増幅管のカソード電圧可変方式である。

 DF装置(ZVG.16)
 ZVG16は受信機E.16Zと統合して航路計表示方式のホーミング装置を構成する。本装置の動作は帝国海軍が装備した3式空1号、零式空4号無線帰投方位測定機と同一である。
 動作概要
 DF装置の枠型空中線は8字型特性であるが、これを垂直型空中線(無線用空中線で代用)の○型特性と移相合成すると一方に偏ったカージオイド特性が発生する。また、合成方向を切替え逆移相にすると、カージオイド特性は反転し、反対方向に移る。ZVG16ではこの切替えを1/56秒で行い、左右のカージオイド特性で受信した信号の強度をセンター0式の電流計(航路計)で表示する。特性左側で受けた電界が強ければメーターは左に、右側が強ければ右に振れ、左右の受信強度が同一となれば0位置となる。このため、操縦員は航路計の指示がセンター0となるように飛行進路を保てば、電波の発信元に到達(帰投)する事が出来る。
 なお、枠型空中線は8字特性が横向きで、機体の軸線と直角になるように装備する。

 電源(FA16E/FA16S)
 本電源は回転式直流発電機方式で入力は24V、直流発電機は送信機高圧発生用(450V)、受信機・DF付加装置用(210V)、送信機バイアス電圧発生用(-160V)の3基により構成されている。

 運用操作
 本機材は送信部、受信部ともに任意の4周波数を機械的にプリセットして使用する。設定は付属の同調ダイヤルで任意の周波数を選択し、設定ネジを固定すると該当周波数がプリセットされる。受信部は補助ダイヤルにより受信周波数を±15KHz補正することが出来る。本機を戦闘機に搭載する場合は送受信機のプリセット機構及び受信周波数微調整器に付加装置を装備し、周波数の切替を含む一切の操作を遠隔にて行う。送受信切替はプレストーク方式である。

FuG.16Z諸元
用途: 戦闘機用電話機
通達距離: 高度3,000mで対地190Km
周波数: 38.5-42.3MHz、4チャンネルプリセット方式
電波形式: A2(変調電信DF用)、A3(電話)
送信出力: 10W
送信部(S.16Z): 主発振RL12P35、電力増幅RL12P35
変調部(BG.16Z): 第一格子変調RV12P200 x2
受信部(E.16Z): スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅一段、中間周波増幅三段、低周波増幅一段、構成真空管RV12P200 x9
中間周波数: 3.1MHz
方向探知付加装置(ZVG.16):ループ式空中線移相切替・航路計表示方式RV12P200 x4
電源:回転式直流変圧器(入力24V)
空中線:ワイヤー固定式、DF用枠型空中線

補足資料-2
 掲示はFuG.16ZY無線機本体、本機はFuG.16Zの改良型で変調機他の回路構成が若干異なる。



 無線機本体左が受信部E.16ZY、窓は受信ダイヤル目盛、中央の赤丸部分が4周波数プリセット機構、選択CHは右上の丸窓に表示される、左下が周波数同調操作ノブ、右が受信周波数微調整器、下が音量調整器。装置中央が変調部BG.16ZY、メーターは送信出力確認用。装置右側が送信部S.16ZY、窓は送信ダイヤル目盛、中央の赤丸部分が4周波数プリセット機構、選択CHは右の丸窓に表示される、右下が周波数同調操作ノブ。



 FuG.16ZY戦闘機搭載型、送受信機の周波数プリセット機構及び受信周波数微調整器に遠隔操作用の付加装置を取付た状態。付加された遠隔装置は何れもモーターで駆動する。



 FuG.ZYの内部。左が送信機、中央が変調機、右が受信機。本機はFuG.16Zとは回路構成が若干異なり、変調回路はRV12P200四本により構成されている。



 送信機S.16ZY。左が発振管RL12P35、奥が発振コイル、右が陽極同調コイル。発振管の右が電力増幅管RL12P35、奥のコイルが陽極同調用。

補足資料-3
 送信機S.16Z・変調機BG.16Z回路構成図



補足資料-4
 受信機E.16Z回路構成図



回路構成図出典: 独逸空軍FuG.16Z、ZS、ZE、ZY装置概説/1944年9月



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