資料番号001

表  題海軍96式空1号無線電話機・送話器(送信機)

追加資料
補足資料-1
 送信機前面構成
 装置前面パネル上部左「受話空中線」が受信機用空中線端子。その下が「同調」器で発振同調用可変蓄電器、表示板は透明の樹脂製で裏側に同調表示用のネオン管が装置されている。右側が「空中線電流計」で空中線給電状態確認用の高周波電流計。その下が「翼板電流計」端子、外部の電流計を接続して発振・変調回路の高圧電流を測定する。送信機上部左が「平衡地線」、右が「空中線」。装置下部左は「送受話転換器」で電源投入、送信、受信切替を行う。右が「電信電話転換器」で発信電波形式(A1・A3)の選択スイッチ。中央の接続端子左が「送話口」、右が「電鍵」。下部が「電圧測定口・高圧+、低圧+」、外部より電圧計を接続して高圧500V、ヒーター電圧10Vを測定する。



送信機内部構成
 装置右側が発振部、左側が空中線同調部及び変調部。発振部パネル面、上部空中線端子の下に発振表示用ネオン管が装置されており、その下が同調蓄電器、背後が結合度可変式の同調コイル、左が発振管UY-503である。
 装置左背後、左が平衡蓄電器、右が可変式空中線延長線輪、左の真空管が変調管UY-503。



 水晶片装置部構成
 装置左側面に発振用水晶片収容ソケットが配置されている。左側は同調コイル、下側は送受信転換器。



補足資料-2
 電源装置
 本電源装置は送信用(大型)及び受信用回転式直流発電機二基により構成されている。送信用発電機の出力は500V、受信用は150Vである。シャーシ側面、左が送信機電源供給端子、右が受信機用、右端のコードは一次電源12V供給用である。 。


写真提供: photo courtesy of Mr. William L. Howard

補足資料-3
 構成真空管UY-503
 UY-503は五極構造の送信管であるが、残存管が非常に少なく規格もハッキリしない。UY-503の類似品として外形を小型にし、形状がUY-807Aと相似したUY-503Aがあるが、本管はUY-807とUY-807Aの関係に相似していると考えられる。今般、変調管UY-503の代替としてP-503Aを使用したが、UY-503、UY-503A、P-503A各管の規格は殆ど共通したもと考えられる。

P-503A諸元
線條電圧;10V
線條電流: 1.25A
陽極最大電圧: 750V
陽極最大損失: 20W
相互電導度(Gm): 2.2mモー
最大周波数: 25MHz
資料出典: 電子管の歴史(日本電子機械工業会電子管史研究会編)


 真空管左よりP-503A、UY-503、UY-807、UY-807A。

補足資料-4
 送受話器
 写真左が当初使用されていた両耳型受話器で、飛行帽の内側に差込み使用した。下部が咽喉式送話器、右が首掛式送話器で本器は簡易酸素マスクを兼用、各送話器はカーボン式である。各器は延長コードを介し送受信機に接続された。


写真提供: photo courtesy of Mr. Gary Nila (Japanese Naval Aviation Uniforms and equipment 1937-45)

補足資料-5
 送信機回路構成図


回路図作成: 山本健殿


資料番号002

表  題海軍96式空1号無線電話機・受話器(受信機)

追加資料
補足資料-1
 受信機前面構成
 装置前面パネル上段左より、「音量」増減切替器。「電信・電話」(A1・A3)切替器。「水晶片」収容部、右端の「受空」が受信空中線端子。中段左より、受話器端子、隣が「音調調整器」で電信復調時ビート音を可変する。「S2」が第二中間周波トランス二次側同調器、「S1」が第一中間周波トランス二次側同調器、「P1」が同一次側同調器。「高周波微調」が高周波回路補整調整器。右端が「同調蓄電器」で上が同調目盛、下が同調器固定金具。下段左が「電源」スイッチ。右隣が「電圧測定口・高圧+、低圧+」、外部より電圧計を接続して高圧150V、ヒーター電圧12Vを測定する。右端が地線端子。



 受信機内部構成
 受信機内部構成。本機は横幅24cm、縦19cm、奥行10cmと非常に小型であるが、シャーシ上部は更に前面パネルに沿って高周波部と真空管装置部に二分割されており、各部の奥行きは僅か5cm程となっている。
 隔壁内左端が同調用の2連バリコンで横向きに取付けられており、各容量は大凡70pF程度と考えられる。中央の金物は局部発振用の海軍型水晶片収容ソケット、右側が「電信・電話」(A1・A3)切替器、右端が「音量」調整器である。隔壁内下部に高周波部同調コイル、中間周波トランス、出力トランス等が装置されているが、確認は難しい。
 装備真空管は左よりUZ-6C6(高周波増幅)、Ut-6A7(周波数変換)、UZ-6C6(中間周波増幅)、UY-76A(再生検波)、UY-76A(低周波増幅)。装置が小型のため殆ど立錐の余地もない。本来高周部構成管にはシールドケースを使用するが、スペースが無いため、各管の間に遮蔽板を立て代用している。







 検波回路帰還調整部
 ワックスで固定された部品二個が検波回路の帰還調整用半固定蓄電器、左が電話、右が電信調整用。調整は「電話」検波の再生調整を先ず行い、次に「電信」に切替え回路を軽く発振させ、電信復調のオートダイン検波状態に設定する。



 受信機裏面構成
 左側の隔壁内が高周波増幅部。各部の構成部品は重ねて配置され、殆どの真空管ソケットは構造物の下側となっている。この時代、陸海軍無線機材は航空機用も含め、抵抗器はブラケット固定式を使用したが、さすがに本機では無理で、小型のL型抵抗器を端子板上に集約し、配線を行っている。



補足資料-2
 受信機動作試験
 受信機各部の構造、回路調査の後、簡単な動作試験を行ってみた。各部の絶縁を確認後、低圧12V、高圧120V(正規は150V)を加圧したところ、受信機は簡単に動作した。テストオシレーターで変調信号を入力し受信状況を確認したが、感度は良好で、復調音も明瞭であった。また、電信モードに於ける復調も良好で、ビート音は非常に澄んでおり、発振は驚くほどに安定していた。手持ち水晶片より6,160KHzのものを選び装着し6,615KHz(5KHz上)のラジオジャパンを受信したが、放送受信は誠に良好であった。



補足資料-3
 受信機回路構成図

 回路図作成: 山本健殿


資料番号003

表  題機体装備

追加資料
補足資料-1
 掲示写真は昭和16年12月8日、真珠湾攻撃に参加しOahu島Fort Kamehamehaに墜落した零戦21型の操縦席で、現在96式空1号無線電話機の設置状況を確認できる唯一の資料である。
 機体右側、座席の右が96式空1号無線電話機の送信機で、その左、曲がった操縦桿の奥が受信機、装置の設置箇所は第2?第4隔壁の間である。座席に置かれているのが本機の電源装置で、本来は座席後部の床に設置されていたと考えられる。
 送信機の上部、ツマミ類の付いた箱状の装置は無線帰投方位測定機(DF)の管制器で、その右、着艦フック巻上げハンドルの陰になっている筒状装置がDFの枠型空中線を手動回転させる「枠回転器」である。本帰投装置は管制器の形状から、当初米国より輸入されたクルシー式無線帰投方位測定機と考えられる。なお、無線帰投装置本体は操縦席後部の第6・第7隔壁右側に取付られたベンチに、マウントを介し装着された。





写真出典: U.S. National Archives 80-G-22158

補足資料-2
 送信機装備
 掲示は零戦21型の96式空1号無線電話機・送信機取付箇所である。送信機は緩衝コードにより懸垂架四基に固定された。



機体所蔵: 東京国立科学博物館

補足資料-3
 零式艦上戦闘機隔壁構成




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