資料番号001

表  題超重無線機試作送信機110号2型

追加資料
超重無線機補足
 超重無線機は第四次制式制定に於いて研究審査が行われた軍通信隊・固定無線隊用の遠距離通信機材である。機種の確定は紆余曲折を経て、最終的には、送信出力2Kwの機材が超重無線機甲、1Kwが超重無線機乙と決定された。
 掲示写真は国立公文書館が所蔵する「超重無線機甲審査原簿」に収録されている試作送信機の一機種、110号2型送信機である。本機の製造は東京電気株式会社で、完成は昭和16年2月、外観は地1号無線機・送信機と非常に類似しており、電力増幅管も同一のUV-815であ。
 「超重無線機甲審査原簿」は米国からの返還文章で、超重無線機の開発に関わる経緯を試作機材の写真、試験成績表他と併せ時系列に纏めたもので、作成は本機材の研究審査部門であった陸軍通信学校研究部と考えられる。しかし、超重無線機は開発方針が幾度か変更された経緯があり、その内容は必ずしも判然としない。
 なお、110号2型送信機はその後改良が重ねられ、昭和18年6月に「三式超重無線機乙」として仮制式上申が決定されるが、その構造は掲示写真とは大分異なったものとなった。

超重無線機の開発
 日本無線史第九巻、陸軍無線史、第三章、第二節「移動式無線通信器材」には超重無線機の開発決定に関わる記述があり、その要旨は以下の様なものである。
 「第三次制式制定に於ける陸軍地上部隊用無線機の最大出力機は94式1号無線機で、その通達距離は500kmであった。しかし、以降軍通信隊の業務は拡大・複雑化し、新たな専用遠距離通信機の開発が必要となり、本目的の機材が超重無線機甲・乙として研究審査の対象となった。
 超重無線機甲の通信能力は大凡94式対空1号無線機に匹敵し、また、超重無線機乙は94式1号無線機に相当する機材であった。しかし、実戦の経験から、超重無線機乙の開発に緊急性はなく、このため、超重無線機甲を「超重無線機」として研究が続けられたが、その後戦局の拡大により更に強力な移動無線機を必要とする状況となった。このため、新たに開発が必要となった遠距離用機材を超重無線機甲とし、94式対空1号相当であった超重無線機を超重無線機乙に変更し研究が進められた。」

 上記より推測して、「超重無線機甲審査原簿」の「甲」とは当初に開発が予定された超重無線機甲であり、「三式超重無線機乙」として仮制式上申が予定された機材は、開発方針の最終決定型である超重無線機乙に該当すると考えられる。



写真出典: 「超重無線機甲審査原簿」国立公文書館蔵

超重無線機乙諸元(完成型)
 本機は付加装置により高速度通信、テレタイプ、ファクシミリ送信機能を具えている。
用途: 固定無線隊
通信距離:1,000Km
周波数: 送信3,000-20,000KHz、受信500-20,000KHz
送信機: 出力(A1)1kw、水晶又は主発振UY-807A、周波数2逓倍UY-807A、周波数2逓倍UY-807A、緩衝増幅P-551、電力増幅P-575 x2並列使用
通信速度: 和文1,000文字/分以上
受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段、中間周波増幅2段、低周波増幅2段(UZ-6D6 x11)
送信電源: 発動発電機(220V、10KVA、3相)、整流電源
受信電源: 蓄電池及び直流変圧器又は整流電源
空中線: 逆L型、柱高12m、水平長35m以下、地線: 35m裸線8条
運搬: 自動貨車2輌
開設撤収: 兵24名で60分

超重無線機甲(開発中止)諸元
 本機材は遠隔する方面軍、総軍、要地間の通信を目的とした出力2kwの移動式遠距離通信用機材である。本機は付加装置により高速度通信、テレタイプ、ファクシミリを行うことを計画したが、戦局の悪化による生産力の低下により、試作段階で開発中止となった。
用途: 固定無線隊
通信距離:2,000Km
周波数: 送信3,000-20,000KHz、受信500-20,000KHz
送信機: 出力(A1)2kw、水晶又は主発振UY-807A、周波数2逓倍UY-807A、周波数2逓倍UY-807A、緩衝増幅P-561、電力増幅P-582 x2並列使用
通信速度: 和文1,000文字/分以上
受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段、中間周波増幅2段、低周波増幅2段(UZ-6D6 x11)
送信電源: 34馬力発動発電機(220V、15KVA、3相)、整流電源
受信電源: 蓄電池及び直流変圧器又は整流電源
空中線: 逆L型、柱高12m、水平長35m以下、地線: 35m裸線8条
運搬: 自動貨車3輌
開設撤収: 兵24名で90分


資料番号002

表  題94式対空1号無線機

追加資料
 94式対空1号無線機は第三次制式制定に於いて、陸軍航空部隊の遠距離用(1,000Km)対空通信用機材として兵器化されたが、本機材は鈍重で装置が複雑なため航空部隊用としては3機で不整備となった。しかし、軍通信隊、固定無線隊用としては引き続き整備が行われ、このため、第四次制式制定に於いては地1号無線機及び超重無線機の開発に影響を与えた。
 なお、本機材の不整備により航空部隊では、94式対空2号無線機の周波数を適切に選定し、対空通信距離1,000Kmを確保した。

補足資料-1
 「94式対空1号無線機・送信機」
 掲示は94式対空1号無線機・送信機である。右より発振部、電力増幅部、送信機制御機。本装置は電源に大がかりな発電・変電装置を必要とするため、野戦での使い勝手は良くなかった。



写真出典: 「無線と実験」第29巻・第5号(昭和17年4月発行)掲載「少年展」

94式対空1号無線機諸元
用途: 対空通信
通信距離: 1,000km
周波数: 送信1,200-13,350KHz、受信140-15,000KHz
送信機: 出力(A1)1,000-1,500w、水晶又は主発振UX-47A、第1段増幅UX-860、周波数逓倍UX-860、第2段増幅UV-812、電力増幅: UV-815 x2(プッシュプル構成)
送信電源: 発動発電機及び電動発電機
受信機: 高周波増幅1段、中間周波増幅1段、低周波増幅2段(27号型受信機)
受信電源: 乾電池
送信空中線: 逆L型、柱高12m、水平長35m以下、地線: 35m裸線8条
受信空中線: 逆L型、柱高10m、水平長20m以下、地線: 20m裸線4条
運搬: 自動貨車3輌
開設撤収: 兵25名で1時間

補足資料-2
 「94式対空1号無線機・21号F型送信機回路図」



回路図作成: 山本健殿

補足資料-3
 「送信管UV-815」
 本送信管は東芝製の直熱式四極管である。第三次制式制定機材である94式対空1号無線機は、送信機の電力増幅管として本管をP.P.構成で使用した。また、第四次制式制定機材である地1号無線機・送信機も同一の構成で本管を使用した。左のUV-815は空気が入り電極が酸化により黒く変色している。



規格概要
管種: 直熱式四極管
最大陽極電圧:2,000 V
最大陽極損失: 500W
最大周波数: 15MHz
相互コンダクタンス(gm): 5ミリモー
増幅率: 5.5μ
線條電圧:11 V
線條電流: 12A
冷却: 自然空冷
製造: 東芝
最大直径: 140mm
全長: 460mm


資料番号003

表  題地1号無線機・送信機

追加資料
 今般入手した地1号無線機関連写真を以下に掲示する。本機材は地1号無線機の原型と考えられる。

補足資料-1
 「地1号無線機・送信機」
 掲示は地1号無線機・送信機で製造は東京電気株式会社(昭和18年5月)である。送信機最上段の計器類は各部の電圧・電流表示計である。装置右側下部が発振部で、開かれた扉内部に発振管UY-511Bが装置され、上部には同調用可変蓄電器が配置されている。上段が緩衝増幅部で、左が同調コイル、右に増幅管UV-1089Bが装備されており、上部に同調用可変蓄電器が配置されている。装置中央上段が電力増幅管UV-815で、写真では確認出来ないがP.P.構成のため装備は二本である。下段が変調部で、音量調整器、音量表示計他が配置されている。装置左側上段は電力増幅部及び空中線同調回路である。下段には電源投入器、電鍵・送話器端子他が配置されている。
 本送信機の構造は前述の超重無線機試作送信機、110号2型と非常に類似している。





補足資料-2
 「地1号無線機・送信機回路構成図」



回路図作成: 山本健殿

地1号無線機・送信機諸元
用途: 対空通信
通信距離:1,000Km
送信装置
送信周波数: 2,500-13,350KHz
電波型式: A1、A2、A3
送信機: 出力(A1)1kw、(A3)400w、水晶又は主発振UY-511B、緩衝増幅UV-1089B、電力増幅UV-815(P.P.)、音声増幅1段Ut-6L7G、音声増幅2段UZ-42、音声制御KY-84、格子変調UV-845
電源: 8馬力発動発電機
送信空中線: 逆L型又はダブレット型、柱高12m、水平長35m、地線: 地網4枚

補足資料-3
 「発動発電機」(上段)、「配電盤」(下段)
 地1号無線機・送信機の電源装置は発動発電機及び配電盤により構成されている。発動発電装置は単気筒8馬力の2サイクルガソリン機関及び高圧・低圧直流発電機により構成され、発動機の回転数は3,000/rpm、高圧発電機出力は2,200V及び1,100V、低圧発電機出力は800V及び15Vである。配電盤は電源装置の監視・保護装置で構成され、発電装置を制御する。





補足資料-4
 「地1号無線機・遠操機」
 掲示上段は送信機を遠隔運用する遠操機で、左が受信所に設置する操縦器、右が送信所に設置する中継器。下段は遠操機内部。

 「遠操機概要」
 対空通信司令所等通信対向が複数となる施設の場合、同一場所で送受信を行うと各機の輻射による相互干渉が発生する。これを避けるため、通常、送信機と受信機は遠操装置を介し、500m〜1,000m程度離れた場所に設置され、各所は送信所、受信所と呼ばれた。受信所には送信装置を遠操する「操縦器」が、送信所には「操縦器」に対応し、送信機を制御する「中継器」が設置され、この間は92式小被覆線等により結ばれた。
 操縦器・接続線・中継器で構成される遠操装置の基本回路は電鍵・電池・継電器から成るループ回路であり、これに対向呼出用ブザー回路及び電話機能が付加されている。操縦器に接続した電鍵を叩くと回路に電流が流れ、中継器の継電器が動作し、接点を介し送信機の電鍵回路が制御され、電波が発射される。装置設営後、受信所の通信担当は、送信機用発電機の起動・停止の指示はブザーで、打ち合わせは電話機能を介し行い、操縦器に接続の電鍵・送話器で送信機を遠隔運用した。
 なお、本遠操機は地2号無線機と兼用であると考えられる。






資料番号004

表  題「地1号無線機・受信機」

追加資料
 「地1号無線機・受信機」には原型及び改良型がある。本受信機は高周波増幅2段、中間周波増幅2段、低周波増幅2段のスーパーヘテロダイン方式で、対応周波数は140-20,2000KHz、この周波数帯を差替え式線輪9本で受信する。開発は安立電気であるが、その構造は設計に際し参考とした米国ナショナル社のHRO型受信機の影響を強く受けている。このため、別項で同時代のHRO受信機について概観した。
 なお、地1号無線機・受信機に関連して、本機と構造が相似し「地1号受信機」と標記される受信機が数多く現存している。しかし、この受信機は地1号無線機とは別に、戦争後期に陸軍航空部隊用の汎用受信装置として整備されたと考えられ、このため、銘板標記は「地1号無線機・受信機」ではない。

補足資料-1
 「地1号無線機・受信機」原型
 掲示は今般入手の写真に含まれていた地1号無線機・受信機の原型で、製造は安立電気製(昭和18年4月)である。本受信機は構成管種がUZ-78、UZ-77、Ut-6B7で、中間周波トランスが刃型接点式、同調ダイアルに副尺用のツバを備えていない。



補足資料-2
 「受信機銘板」
 標記が「地1号無線機・受信機」であることに注意。



「地1号無線機・受信機」(原型)概要
 本受信機の空中線は単線式で、入力側に強電界による飽和を避けるため可変式減衰抵抗器を具えている。フロントエンドはUZ-78による高周波増幅回路2段、UZ-77による周波数混合回路(第一検波)及び、UZ-77による局部発振回路で構成され、局部発振はハートレー発振方式で、出力を周波数混合管の第3格子に注入している。各段の同調回路は4連式可変蓄電器により構成され、高周波増幅段、第1検波段にはトラッキング用として、手動補正用の小容量可変蓄電器が付加されている。
 同調ダイアルは単一なギャ式で、HROのPWダイアルとは構造が異なり、同調ノブで100度目盛りのドラムを回転させ、周波数は差替式コイルに添付された周波数置換表により読み取る。

 中間周波増幅回路はUZ-78による2段増幅方式で、中間周波数は受信周波数140-1,500KHzが65KHz(一号IFT)、1,500-20,000KHzが450KHz(二号IFT)で、中間周波数の変更はプラグイン式IFTユニットを受信機上部から差替えて行う。本受信機の手動利得調整は中間周波増幅管のカソード電圧を可変して行う。
 中間周波増幅2段出力側と検波回路の間には、帯域幅を可変する濾波器が装置されている。本濾波器は450KHzの水晶片1個使ったブリッジ平衡式で、可変式蓄電器により帯域幅を250〜8,000Hz程度可変する事が出来る。但し、1号IFT使用時に濾波器は動作しない。

 第二検波は複合管Ut-6B7の二極部で行い、低周波出力は5極部及びUZ-77による2段増幅である。電信復調用のBFO回路はUZ-77によるハートレー発振回路で、出力を検波・低周波増幅用複合管Ut-6B7の二極部に注入している。
 本受信機はAGC機能を備えており、検波回路より取出したAVC電圧を高周波増幅1段・2段及び、中間周波増幅1段・2段を構成する各管の第一格子に加圧している。AGC機能の接・段は電信・電話切替器により行い、電話モードの場合は接、電信の場合は断となる。

音量調整
 本受信機による電信の復調は、空中線可変減衰器、手動利得調整器、BFO調整器、音量大・小切替器を適宜に調整・設定し、適切な受話器音響出力を得る。電話(放送)受信時には、上記に自動利得調整機能(AGC)が付加され、BFO回路は断となる。
 電話受信の場合、本機のAGCを有効に動作させるには、回路構成上手動利得調整器により受信機の動作を最大利得領域に設定する必要がある。このため、増大する音響出力を可聴に不都合の無い値に設定するため、音量大・小切替器を適切に設定する必要がある。

補足資料3
「地1号無線機・受信機」原型回路構成図



「地1号無線機・受信機」諸元
受信機: スーパーヘテロダイン方式(AGC機能付)、高周波増幅2段、中間周波増幅2段、低周波増幅2段
受信周波数: 140-20,000KHz
中間周波数: 65KHz(受信周波数140-1,500KHz)、450KHz(1,500-20,000KHz)
帯域濾波器: 450KHz水晶式濾波器
電源: 蓄電池及び直流変圧器、交流式電源
受信空中線: 逆L式

補足資料-4
 「地1号無線機・受信機」電源装置
 本受信機の電源装置には交流式、直流式の2種類が整備されている。交流電源は変圧トランスの入力側を切替可変し、現地商用電圧に対応出来る構造となっている。対応電圧は100V〜500Vで、周波数は50〜80Hzである。整流はKX-80による両波整流で、出力は200V、線條電圧は交流6.3Vである。
 直流式電源は回転変圧器方式で、直流6.3Vで発電機を駆動し出力200Vを得るが、線條用電源は入力直流6.3Vをそのまま供給する。
 なお、直流変圧器については「地1号受信機」追加資料の項に掲示した。

 掲示はかって、総合保健薬「わかもと」で知られた「わかもと本舗」が陸軍に献納した「愛国第一航法用無線機」に関連したもので、陸軍省が献納元に配布用として提供した記念絵葉書の一枚である。本絵葉書に写る地1号無線機・受信機は構造から開発当初の原型と考えられる。交流電源前面パネルには4個の切替器が装置されているが、本式は所蔵する配線図に描かれた回路の何れにも該当しない。掲示回路図に記載されている交流式電源の操作箇所は、電源投入器、交流入力電圧粗切替器、交流入力電圧細密調整器の3個である。
 なお、受信機と併せ写っている装置は送信機と考えられるが、地1号無線機との関連はない。




資料番号005

表  題米国ナショナル社製HRO受信機

追加資料
 地1号無線機・受信機は安立電気により開発されたが、その構造は設計に際し参考とした米国ナショナル社製のHRO受信機の影響を強く受けている。このため、参考資料として初期型HRO受信機の一機種を掲示した。
 HROの原型は1935年の3月に販売されたが、その後改良型各種が導入された。本機は高周波増幅2段、中間周波増幅2段、低周波増幅2段のスーパーヘテロダイン方式で、選択度向上のため水晶式濾波器をそなえ、標準装備される差替式コイル4本で、1,700-30,000KHzを受信する。構成真空管は初期型が線條電圧2.5VのST管、その後6.3V管に変更され、後期型ではメタル管に変更された。同調ダイアル機構は本受信機の特長である「PWダイアル」で、10回転(500度目盛)で1バンドをカバーする。HROは周波数直読方式ではなく、周波数は差替式コイルに添付されている置換表により読取る。

補足資料-1
 「受信機外観」
 掲示はHRO受信機の初期型で、構成真空管は2.5V管9本である。本機の型式は不明であるが、構造から1936年2月に販売されたHRO Seniorではないかと推測される。
 受信機前面左側、上部より、Sメーター、受話器端子、音量調整器、A.V.C.接断トグルスイッチ、BFO周波数調整器。中央がPWダイアル、下部が差替式受信コイルで、置換表が添付されている、左の置換表は通常受信用、右はアマチュア無線バンド拡大(スプレッド)受信用(1コイル1アマチュアバンド)、スプレッドは受信コイル内に装置されている爪スイッチを切替えて行う。右側、上部より、水晶式濾波器の帯域可変調整器、水晶式濾波器切断及び粗帯域可変切替器、高圧接断切替器、高周波増幅部利得調整器である。



補足資料-2
 「受信機内部」
 中央前部に装置されているのがフロントエンドを構成する同調用4連バリコン、高周波の流れは写真右より左で、地1号無線機・受信機とは逆である。真空管構成はバリコン右端より、高周波増幅1段58、高周波増幅2段58、周波数混合57、局部発振57。左の箱が水晶式濾波器及び第一中間周波トランス、上部の丸い金物が水晶片、増幅管は58。受信機背後左側より右へ、第二中間周波増幅58、検波・低周波増幅1段2B7、BFO発振57、右端シールド板の部分が低周波増幅管2A5。



機材所蔵・写真提供: 山田忠之殿

補足資料-3
 「HRO配線図」
 HROは各種が販売されたが、戦前に製品化された各型の回路構成に大きな違いは無い。初期のHROは2.5V管を使用しているが、間もなくして6.3V管に変更された。掲示の配線図は1930年代後半の機種と考えられるが、構成管種は線條電圧が2.5Vの57、58、2B7、2A5及び6.3Vの6C6、6D6、6B7、42の並列標記となっている。



HRO初期型諸元
運用周波数:1,700-30,000KHz(標準装備4バンド)
電波形式: A1・A3(電信・電話)
受信方式: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段・周波数混合・局部発振・中間周波増幅2段・BFO・検波/低周波増幅・低周波増幅、AGC機能付
中間周波数: 456KHz
構成管種: 初期型-57、58、2B7、2A5、改良型-6C6、6D6、6B7、42
帯域濾波器: ブリッジ式水晶式濾波器
選択度: 0.2〜6.5KHz
電源: 外部商用交流式


資料番号006

表  題「地1号無線機・受信機」改良型

追加資料
 掲示は地1号無線機・受信機の改良型である。大戦後期に導入された汎用受信機「地1号受信機」は本受信機の改良型と考えられる。残念ながら、掲示受信機は銘板が欠損しており、型式が不明である。送信装置を含む改良であった場合、本機は「地1号無線機2型・受信機」となる。しかし、現在まで本標記の機材、回路図を含む資料を確認したことはない。
 本改良型では従来の構成真空管UZ-77・UZ-78が、新管種であるUZ-6C6・UZ-6D6に変更された。また、空中線入力側に高インピーダンスの空中線共用回路が付加されたが、他の回路構成は原型と同一と考えられる。構造に関わる相違箇所は、同調ダイアルノブに100度目盛の副尺用ツバが付加され、回路変更により、空中線端子が2個となったことである。
 なお、掲示受信機は黒色塗装であるが、これは戦後に塗られたものである。

補足資料-1
 「地1号無線機・受信機改良型」空中線入力回路
 1bが空中線共用回路の「共空」端子である。



補足資料-2
 「地1号無線機・受信機」改良型
 本受信機の前面構造は新たに付加された空中線共有端子及び同調ダイアルの副尺用ツバを除き、原型と同一である。各調整器他の配置は、前面上段右より、空中線端子、上部が単空、下部が共空、第一高周波補整蓄電器、第二高周波補整蓄電器、同調ダイアル目盛、検波補整蓄電器、選択度調整器(水晶式濾波器)、音色調整器(BFO)。中段右より、地線端子、空中線減衰器、同調ダイアルツバ付、音量調整器、電話・電信切替器。下段右より、差替式線輪、線條・陽極電圧接・断器、受話器端子。
 なお、原型・改良型は電信・電話切替器により、第二低周波増幅管の第2格子回路の変更を行い、音量を大・小に切替える機能を具えている。



補足資料-3
 改良型受信機内部。前面パネル背後、隔壁で囲まれた部分がフロントエンドで構成真空管は4本、左より第一高周波増幅管UZ-6D6、第二高周波増幅管UZ-6D6、周波数混合管UZ-6C6、局部発振管UZ-6C6。高周波信号の流れは左から右で、開発の参考とした受信機HROとは逆である。受信背後、左より、第一中間周波トランス・増幅管UZ-6D6、第二中間周波トランス・増幅管UZ-6D6、検波・第一低周波増幅管Ut-6B7、第二低周波増幅管UZ-6C6、前面パネルに向かって、BFO用トランス、左が検波段中間周波トランス、奥がBFO発振管UZ-6C6、左が水晶式濾波器。

 原型、改良型受信機の中間周波トランス類は側面に刃型の接点を具えた構造で、「地1号受信機」とは構造が異なる。上部には差込・引抜用のベーク製ツマミが付加されている。
 なお、掲示受信機の第二低周波増幅管にはシールドケーズが装着されていないが、これは取付基部が欠損している為である。





機材所蔵・写真提供: 古谷敏明殿

地1号無線機・受信機改良型諸元
受信機: スーパーヘテロダイン方式(AGC機能付)、高周波増幅2段、中間周波増幅2段、低周波増幅2段
受信周波数: 140-20,000KHz
中間周波数: 65KHz(受信周波数140-1,500KHz)、450KHz(1,500-20,000KHz)
帯域濾波器: 450KHz水晶式濾波器
電源: 蓄電池及び直流変圧器、交流式電源
受信空中線: 逆L型


資料番号007

表  題地1号無線機関連資料

追加資料
補足資料-1
 下記掲示写真2枚は陸軍航空通信学校に於ける対空通信実習風景である。写真上段は受信所で、手前及び中央が地2号無線機・受信機(原型)、各受信機は遠操機を構成する操縦器と併設されている。写真奥が地1号無線機・受信機で担務要員が設置を行っている。地1号無線機・受信機には同調ツマミにツバが無く、また、空中線端子も1個の為、本機は原型である。

 写真下段は送信所で、奥の機材収容木箱の上に地2号無線機・送信機が設置され、手前の箱には送信機を制御する遠操機・中継器がケースから取出され、置かれている。写真右側に設置され、一部が写っている大型の装置は実習状況から、地1号無線機・送信機と考えられる。





補足資料-2
 掲示は沖縄戦に於いて米軍が撮影した地1号無線機・送信機である。装置の前にはむき出しの遠操機・中継器が、背後には電源配電盤が置かれている。先年、本写真を入手した際は資料不足により、当該機材は超重無線機の一機種であろうと推測していた。しかし、今般の地1号無線機関連写真の入手により、地1号無線機の送信機であることが判明した。本送信機は変調部の計器2個が差込式に変更されるなど、構造が先に掲示した地1号無線機の送信機とは若干異なる。戦闘のためか送信機は損傷しており、電力増幅管UV-815の一本は壊れている。

 なお、地1号無線機は航空部隊用の遠距離通信機材であるが、沖縄戦の状況を勘案すると、本機は対空1号や2号無線機と同様に、軍司令部に所属した軍通信隊で使用されていた可能性が高い。このため、本機の設置場所は、牛島満中将が率いた第32軍の司令部に関係した豪であったとも推測される。




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