資料番号001

表  題RAF海上探査レーダーASV Mk.U

追加資料
補足資料-1
 RAF沿岸防備隊B-24 Liberatorの主翼下部に取り付けられた夜間Uボート攻撃用サーチライト「Leigh Light」(アーク灯)、直径61cm、2,200万カンデラ。(撮影1944年2月26日)


写真出典: Wikipedia /The Leigh Light

ASV Mk.U空中線装置
 当初開発されたASV Mk.Tは肝心の潜水艦探知能力が殆ど無かった。このため探知能力を向上させるため大型空中線を使用した側面探査装置(sideways-looking system)の研究が進められた。本式は大型機の胴体上部に4本のマストを直列に立て多素子の送信用空中線を配置し、機体の両側面に類似した受信空中線を装置したものであった。この研究は後継機であるASV Mk.Uに生かされ、本機では前方探索用と側面探査用空中線の二種類が開発された。前方探索用は送信用が4素子八木一基で機首に装着され、受信用は6素子八木2基で構成され、各空中線は両主翼の先端に若干外向けで装置された。前方探索は等感度受信方式であるが、通常のレーダーに於ける各諸元の精密測定とは異なり、標的のホーミングに使用された。
 側面探査用空中線は装備航空機の形状に対応して各種が開発されたが、一般的な構造は送信用が半波長ダイポール2列2段4組構成で機体上部に設置され、受信用は半波長ダイポール2列4組2基で構成され、各基は胴体の両側面に装置された。本空中線は探索用であり、目標発見後は前部空中線に切り替えホーミングを行った。


補足資料-2
 B-24 Liberator搭載型空中線構成図。

資料出典: A.S.V. MK.U EQUIPMENT AND ANCILLARIES Air Ministry Nov. 1943
資料提供: Royal Navy’s Museum of Radar and Communications

ASV Mk.U諸元
周波数: 176MHz
パルス幅: 2.5μ
繰返周波数: 400Hz
空中線: 前方探査空中線(送信4素子八木一基・受信6素子八木2基)、側面探査用空中線(送信・受信用共にスタック式半波長ダイポール)
送信機:発振管VT90/CV1090P.P.構成、陽極電圧7,500V
尖頭出力: 7Kw
受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段、中間周波増幅3段、低周波増幅2段構成
中間周波数: 31MHz
画像表示: Aスコープ方式
測定: 等感度方式(前方)
探知距離: 中型艦艇70km
電源: 交流電源方式(80V)


補足資料-3
送信管VT-90/CV-1090
諸元
線條電圧: 8.25V
線條電圧: 7A
最大発振周波数: 300MHz
最大陽極電圧: 9,000V
尖頭出力: 10Kw(P.P.構成)

写真提供: photo courtesy of Mr. Jeremy M. Harmer
http://www.tubecollector.org/cv64.htm


補足資料-4
 英国の収集家が所蔵するASV Mk.U関連機材。写真左側下部が受信機R-3132、上部が6A型指示器。右側上部が制御機。




補足資料-5
 A6型指示器の波形疑似表示状況。縦の中心線がAスコープの水平時間軸。距離測定用のスケールが確認出来る。最下部の波形が自発信パルス。下部及び中央部が等感度方式で測定した反射(標的)パルス。下部及び中央部の反射パルスは左側が大きいため、両標的は共に前方左側に位置する。標的補足のため、パイロットは左右のパルス幅が等しくなるように進路を修正し飛行する。本式は等感度測定法によるホーミング航法で、結果、標的に到達することが出来る。



写真提供: photo courtesy of Mr. Norman Groom
http://website.lineone.net/~norman.groom/ASVMKII.htm


資料番号002

表  題RAF海上探査レーダーASV Mk. V

追加資料
 今般、「英国海軍、レーダー・通信博物館」のご協力により、RAFの海上探索用レーダーASV Mk.U及びVの取扱説明書(PDF)を入手する事が出来た。Mk.Vの送信管はマグネトロンCV-64であることは承知していたが、局部発振管については不明であり、この度、漸く反射型クライストロンCV-67であることが判明した。
 1944年、ドイツ空軍は「ロッテルダム装置(H2S)」を手本にPPI方式のマイクロ波帯レーダーBerlinを開発する。本機の送信管はCV-64を模倣したLMS10であったが、局部発振管はテレフンケンが開発した小型のマグネトロンRD2Md2であった。ドイツはマイクロ波の研究を怠っていたため、クライストロンの開発に手間取り、マグネトロンで代用したものと推測される。

補足資料-1
ASV Mk.V送受信ユニット回路構成図。
 上部中央が送信用マグネトロンCV-64、立体回路は導波管ではなく同軸管構造である。送信部とスキャナの接続は同軸である。CV-43は送信パルスが受信回路に入込むのを防ぐTR管(放電管)。下側の同軸管内に鉱石検波器CV-101が装置されている。検波出力はIF受信ユニットに出力される。局部発振用クライストロンCV-67は波形表示ユニットに装置されており、同軸で周波数変換回路に接続される。



補足資料-2
 ASV Mk.Vの送受信ユニット装置構成図。中央のV101が発振用マグネトロンCV-64でマウントに装置されている。上部の「MAGNET」はCV-64の励磁用永久磁石。CV-64の右側に突き出た筒が同軸管回路でパネル前面の同軸コネクターに接続されている。装置の左側はCV-64のヒータ電圧供給回路である。

資料出典: H2S Mark U EQUIPMENT AND A.S.V. Mark VA & VB CHAPTER 1/PREPARED BY DIRECTION OF THE MINISTER OF AIRCRAFT PRODUCTION
提 供: Royal Navy’s Museum of Radar and Communications


補足資料-3
 英国の収集家が所蔵するH2S構成機材。本機は空中線系を除きASV Mk.Vと大差はない。左が波形指示器、右が管制器。波形指示器の上部がPPI表示式のCRT、下部CRTがAスコープ方式の距離測定器。局部発振用クライストロンは波形指示器内に装備されており、発振出力は同軸ケーブルで送受信ユニットに供給される。



写真提供: photo courtesy of Mr. Norman Groom
http://website.lineone.net/~norman.groom/ASVMKII.htm

ASV Mk.V諸元
周波数: 3,300MHz(波長9.1cm)
繰返周波数: 750Hz
パルス幅: 0.75μs
空中線:60°スキャナ式パラボラ型
給電線: 同軸
送信機:送信管CV-64(マグネトロン)、陽極電圧7,000V
尖頭出力:50Kw
受信機:スーパーヘテロダイン方式、第一周波数変換鉱石検波(CV101)、局部発振CV-67(反射型クライストロン)、中間周波増幅6段
中間周波数: 13.5MHz
PPI式画像表示範囲: 前方60°
高度測定: Aスコープ方式
方位測定精度: 3°
探知距離: 160km
電源: 交流電源方式(80V)


補足資料-4
マグネトロンCV-64諸元
構造: 陽極8分割空洞共振型マグネトロン
線條電圧: 6V
線條電圧: 1.25A
発振周波数: 3,300MHz
尖頭陽極電圧: 13,000V
尖頭陽極電流: 10A
磁界: 1,350G
尖頭出力: 40Kw




補足資料-5
反射型クライストロンCV67(局部発振管)
諸元
構造: 反射型クライストロン
線條電圧: 4V
線條電圧: 1.6A
発振周波数: 3,226-3,370MHz
陽極電圧: 1,000-1,500V
発振出力: 100mw




補足資料-6
鉱石検波器CV-101。本構造の鉱石検波器は以後開発されるマイクロ波用検波器の原型となった。



補足資料-7
 TR管CV-43。この送受信切替用放電管は「keep alive」方式である。加圧により常時微弱な放電電流を流し、放電間隙に少量のイオンを供給する。これにより、送信パルスが加圧されると放電が急速に立上がり、受信機側に高周波エネルギーが侵入するのを防止する。



真空管写真提供: photo courtesy of Mr. Jeremy M. Harmer
http://www.tubecollector.org/cv64.htm


資料番号003

表  題ドイツ海軍メートル波帯用電波探知機FuMB-1 Metox

追加資料
機材概要
 Metoxはメートル波帯用のスーパーヘテロダイン式受信機で、構成は高周波増幅段無し、中間周波増幅2段、低周波増幅2段である。フロントエンドはエーコン管4671二本による平衡検波(各管2極管接続と推測)、同調回路はレッヘル線による全バンド一括操作方式、局部発振回路は4671二本構成と推測され、同調はLC方式である。中間周波部はEF-14 による2段増幅でBFOがEF-13、第2検波・低周波増幅1段はEBC-11、低周波増幅2段がEL-11、電源回路は整流がEZ-12、電圧安定がSTV-150/200である。

補足資料-1
 Metox R-600型受信機。Metoxには60-160MHzを受信するR-203型及び、113-240MHzを受信するR-600型の二機種がある。水上艦艇は両機を、Uボートは英軍のASVに対応するため、R-600型のみを搭載した。



写真出典: German U-Boat
http://www.uboataces.com/radar-warning.shtml


補足資料-2  Metox用初期型空中線Biscay Cross。上部の山形が垂直偏波、下部が水平偏波用空中線である。

資料提供: photo courtesy of Mr. Arhur O. Bauer
http://www.cdvandt.org/Metox.pdf


補足資料-3
 U-160の艦橋に装置されたMetox用空中線Biscay Cross。本艦は1943年7月14日にアゾレス諸島近海に於いて、米海軍AvengerとWildcatの攻撃を受け沈没した。(撮影1943年月4月19日)



写真出典: German U-Boat
http://www.uboataces.com/radar-warning.shtml


資料番号004

表  題ドイツ海軍メートル波帯用電波探知機FuMB-8・9 Wanze

追加資料
 WanzeはMetoxの後継機として開発されたメートル波帯用電波探知機で、空中線には無指向性のルンドダイポール(FuMB空中線3型)が使用された。本機には原型のFuMB-8と局部発振回路の輻射を抑えた改良型FuMB-9がある。帝国海軍が開発した「ラウンド型無指向性空中線」はwanze用空中線を基に開発されたと考えられる。

補足資料
 U-952の艦橋に装置されてWanze用無指向性空中線「FuMB空中線3型」、左は艦長のOscar Curio。本艦は1944年8月6日、地中海Toulon Franceに於いて米軍の攻撃により撃沈された。



写真出典: Uboat.net
http://www.uboat.net/technical/detectors.htm


資料番号005

表  題ドイツ海軍メートル波帯用電波探知機FuMB-4 Samos(RS1/5)

追加資料
 SamosはMetoxの後継機として開発されたメートル波帯用電波探知機の一機種であるが、Wanzeと同様に導入時期がマイクロ波帯への移行過渡期であり、使用期間は短かったと考えられる。

Samos(RS1/5)緒元
対応周波数: 90-470MHz
受信機構成: スーパーへテロダイン方式、高周波増幅段無し、中間周波増幅4段、低周波増幅2段
電波型式: A3・F3(FM)
中間周波数: 2,500KHz
構成真空管: 第一検波RD12G(双2極管) 、局部発振RD12Ta(3極管)、マーカー発振(RD12Ta)、中間周波増幅4段EF13(5極管) x4、第二検波(FM検波)EB-11(双2極管)、低周波増幅2段EF13 x2、両波整流EZ11(双2極管)、定電圧放電7475
空中線: ラケット型空中線「FuMB 空中線4・5型」
一次電源: 交流220V







写真提供: photo courtesy of Mr. Antonio Fucci
http://www.radiomilitari.com/


資料番号006

表  題帝国海軍メートル波帯用電波探知機E-27受信機

追加資料
E-27受信機原型概要
 本受信機は高周波段増幅なし、中間周波増幅5段、低周波増幅3段のスーパーへテロダイン方式で、フロントエンド(RF部)は5基の差替式ユニットで構成され、75-400MHzを受信する。各RF部の第1検波及び局部発振回路は共に、可変バリコン及び固定コイルで構成されたコルピッツ発振回路の変形で、使用真空管は各部三極管UN-955である。第1検波回路は「再生調整器」により検波管の陽極電圧を可変し、軽い発振状態を維持するオートダイン検波方式で、高利得を考慮したと考えられる。しかし、本式は自ら電波を輻射するため逆探装置としては不都合であり、改良型では二極管接続のUN-955二本による平衡検波方式に変更された。入力側及び局発用の同調バリコンはギアで連動し、操作は単一のバーニァダイヤルにて行うが、局発用バリコンにはローター軸を加圧し、微同調を行う副ダイアル機構が装置されている。周波数混合段以下は中間周波増幅5段、検波、低周波増幅3段構成で、各部は単一の真空管UZ-6C6により構成され、検波部は2極管接続である。
 なお、本受信機にAGC機能は付加されていない。


補足資料-1
 E-27受信機原型。前面、取手の付いたパネル3基が着脱式のRF部。大きなダイアルが主同調、上部のツマミが微同調。空中線の接続は筐体上面より各RF部に行う。受信機前面パネル下部、左より受話器端子、再生調整器、周波数選択器(RF部選択)、利得調整器、翼板(プレート)開閉器、線條(フィラメント)開閉器、右端が周波数読取表。



探索操作
 E-27受信機原型は75-400MHzを5バンドに分け受信するが、装着できるRF部は3基である。空中線入力端子は各RF部の上面に配置されており、また、装着したRF部の選択は本体前面の周波数転換器によって行う。本構造により、探索作業はRF部の差替え、空中線の接続替え、RF部の選択、帯域内受信等、誠に繁雑であった。このため、後に単一RF部による全帯域連続可変同調方式に改良された。


補足資料-2
 E-27受信機のRF部。左が局部発振回路、右が空中線入力、周波数変換回路。周波数変換はオートダイン検波方式。装備真空管は共にUN-955。本ユニットの対応周波数は320-400MHz。




補足資料-3  E-27受信機のフロントエンド構成図。第一検波はオートダイン検波方式。検波、局部発振回路は共に同一構成のコルピッツ発振回路の変形で、構成真空管はUN-955。本式は電波探知機で有りながら、両回路より輻射が発生する。


回路図作成: 山本健殿


補足資料-4
 海軍が開発した探知機用空中線各種。図上部の3基がメートル波帯用で、左がラケット型空中線、中央がルンド型無指向性空中線、右が無指向性のθ型空中線。下部の3基がマイクロ波用空中線、左がパラボラ型で空中線素子は広帯域型ダイポール、中央が無指向性のS型で形状は球形、内部に鉱石検波器試験用の火花式発振器が装置されている、右がパラボラ型で空中線素子はθ型である。これらの内、実用化された空中線はメートル波用がラケット型、ルンド型、マイクロ波用がダイポール素子式のパラボラ型と考えられる。
 なお、θ型、S型空中線については資料が少なく、構造がハッキリしない。メートル波用θ型空中線は海軍の航空機搭載型電波探知機「試製2式空7号無線電信機2型」(FTB)の無指向性空中線として使用が予定された。



資料出典: U.S. NAVAL TECHNICAL MISSION TO JAPAN E-07


補足資料-5
 400型潜水艦の艦橋に装置されたラケット型空中線。本空中線は海軍技術研究所が、寄港したドイツ仮装巡洋艦が装備したメートル波帯用電波探知機の空中線を参考に開発した。本空中線はダイポール型の変形で、広帯域用の空中線素子2枚を金網状反射器の上に配置したものである。本器は水平偏波、垂直偏波に対応するため斜めに取付けられた。



補足資料-6
 ルンド型無指向性空中線。ラケット空中線素子と同型の金網状構造物2枚を半円形に丸め、2枚で円形を構成し、2本のダイポール素子を垂直に取付けたもので、wanzeの無指向性型空中線「FuMB空中線3型」を参考に開発されたと考えられる。



空中線写真提供: 田村俊夫殿


資料番号007

表  題E-27受信機改-3

追加資料
 本機のフロントエンドは空中線同調回路、局部発振同調回路が共にレッヘル線回路により構成され、80-400MHzの同調操作を一挙動にて行うことが出来る。構造からRF部に関わる改造は、Metox R-600型受信機を参考に行われたと考えられる。改-3型は80-400MHzに加え、局部発振の第二高調波を利用し400-800MHzの受信が可能であり、このため、周波数の読取表には80-800MHzの曲線が記入されている。


補足資料-1
 E-27受信機改-3。高周波部パネル左のダイアルが局部発振同調用、右が空中線同調用、同調回路は共に円形型レッヘル線構造で、ダイアルは360°を自由回転する。受信機本体前面下段、左より受話器端子、利得調整器、パイロットランプ、電源翼板、線條閉開スイッチ。



E-27受信機改-3緒元
用途: レーダー波探索
対応周波数: 80-400MHz、80-800MHz(局発第二高調波利用)
方式: スーパーヘテロダイン方式
構 成: 第1検波(UN-955二極管接続2本の平衡検波)、局部発振(UN-955)、中間周波増幅5段(UZ-6C6 x5)、第2検波(UZ-6C6二極管接続)、低周波増幅3段(UZ-6C6 x3)
中間周波数: 14.5MHz
帯域幅: 50KHz
利得:120db
電源: 交流100V
空中線: ラケット型(指向性)、ルンド型(無指向性)
生産台数: 改-3、改-4を併せて大凡2,500台


補足資料-2
 RF部内部。左上のソケットが空中線入力端子。下側の円形構造物は空中線入力回路のレッヘル線式同調器。中央に配置された真空管はUN-955。左の2本が周波数変換用で構成回路は二極管接続、平衡検波方式。右のUN-955は局部発振用。右の構造物は局部発振用のレッヘル線式同調器。




補足資料-3
 E-27受信機改-3のフロントエンド構成図。第一検波はUN-955二極管接続二本による平衡検波。局部発振回路はUN955によるコルピッツ発振回路の変形。本型では局部発振波の輻射を防ぐため平衡検波回路を採用している。空中線回路、局部発振回路は共にレッヘル線同調回路により構成されている。




補足資料-4
 二等巡洋艦桂に装備されたE-27受信機改良型。装置下部のハンドルはラケット型空中線の回転用と考えられる。



資料出典: U.S. NAVAL TECHNICAL MISSION TO JAPAN E-01


補足資料-5
 E-27受信機回路図。本機は空中線同調回路がレッヘル線構造、局部発振回路がLC構成のためE-27受信機改2と推測される。フロントエンドの構成真空管はUN-955、他はUZ-6C6。



回路図作成: 山本健殿


資料番号008

表  題試製2式空7号無線電信機2型(FTB)

追加資料
補足資料-1
 「試製2式空7号無線電信機2型(FTB)」装置概念図及び回路図。左上部の空中線2基は等感度測定用のラケット型、右は無指向性のθ型空中線である。ラケット型各基は搭載航空機の両主翼先端部に若干外側に向け装置され、θ型は機体の上部に設置されたと考えられる。
 受信機回路図左側は継電器による空中線選択回路で、ラケット型空中線に切替えると左右の空中線が自動切を繰返す。
 FTBは等感度測定方式であるが信号受信は受聴式のため、レーダーのCRT表示とは異なり、左右空中線の出力を比較するのは非常に困難である。このため、従来無線航法で行われていたA/N方式を応用し、受信側でA/N信号(符号)を発生させ等感度測定を行う。回路図右側下部がA/N符号発生装置で、左右空中線の切替えに同期して低周波出力をA/N符号化する。左側空中線使用時はモールスのN符号が、右側空中線使用時はA符号が発生する。このため、標的波が左から到来する場合はN符号が、右側の場合はA符号が聴取されるが、正面からの場合は左右空中線出力が同一となるため、単一の連続音として聞こえる。操縦員は受聴音が連続音となるようにホーミング飛行を行うことにより、標的機に到達する事が出来る。
 なお、本機の測定方式については「海軍レーダー徒然草」の安原久悦氏に図付きで解説を頂いたので、下記URLを参照願います。
http://www1.odn.ne.jp/~yaswara/an.html






資料出典: U.S. NAVAL TECHNICAL MISSION TO JAPAN E-07


補足資料-2
 FTBのフロントエンド、第一検波回路。本受信機は局発の原発振及び低調波・高調波を利用して広周波数帯域の受信を行うと考えられ、空中線側に同調回路は装置されていない。検波は3極管UN-955二極管接続2本による平衡検波である。




補足資料-3
 FTBの局部発振回路。回路はコルピッツの変形で、真空管はUN-955。発振周波数は150-200MHz近辺と推測される。




補足資料-4
 扉内部は空中線自動切替及びAN信号発生装置。下部に装置されたスイッチにより空中線を選択する。モーター駆動によるAN信号発生装置は周波数自動可変装置を兼任している。



写真出典: photo courtesy of Mr. Michael Hanz (Smithsonian Institution)


資料番号009

表  題ドイツ海軍マイクロ波帯用電波探知機FuMB-26 / Naxos 通称Tunis

追加資料
補足資料-1
 鹵獲Uボートに搭載されていたFuMB26 /Tunisの空中線部。本装置の空中線部はSバンド用探知機FuMB24の空中線部(ダイポール反射器付型)及び、Xバンド用FuMB25の空中線部(ホーン型)により構成されている。本探知機の信号増幅部は両バンド兼用で、信号の探知は受話器にて行う。




補足資料-2
 FuMB-26 Tunisの概念図。鉱石検波器を装置したS・Xバンド用の空中線と、検波信号を増幅する低雑音増幅器が主要構成装置である。S・Xバンドを同時に受信するが、切替器が付加されており必要に応じ選択受信が可能である。しかし、U-ボートにとり何れの周波数帯でレーダー波が受信されたかは問題ではなく、信号を探知した場合は直ちに急速潜行を行った。


補足資料-3
 S・Xバンド各空中線部。各空中線背後の筒状金物の中に鉱石検波器が装置されている。




写真・資料提供: photo courtesy of Mr. Arhur O. Bauer
http://www.cdvandt.org/fumb26-tunis.htm


資料番号010

表  題ドイツ空軍マイクロ波帯用電波探知機FuMB-23・28/Naxos FuG350 (ZM型)概要

追加資料
装置概要
 FuG350はドイツ空軍の機上用電波探知機で、探知した電波の到来方向をブラウン管(CRT)に表示する。装置は回転式誘電体型空中線、鉱石検波器及び波形表示用CRTを装備した低周波増幅部により構成されている。空中線は半波長ダイポールに円錐台形の誘電体ポリエチレンを取付けた空中線素子2基のスタック構成で、モーター駆動により1300/分で回転する。鉱石検波器は空中線下部に装置され、検波信号を増幅部に出力する。増幅部(ZM4型)は五極管EF-14による4段構成で、信号をCRTに出力する。電源は交流電源方式である。


補足資料-1
装置動作概要
 誘電体型空中線は1300/分で回転する。受信レーダー波は鉱石検波器で検波され、信号は増幅後CRTのグリッドに加圧される。空中線の回転シャフトには2相の交流発電機が直結されており、移相が90°異なる交流出力がCRTのX・Y軸に加圧され、基線は円形となって表示される。空中線の回転とCRTの掃引は同期しており、入力信号は電波の到来方向に該当する位置で輝度増強を行う。本CRTはPPI式表示管とは異なり残光性はないが、空中線が高速で回転しているため、該当部分が常に輝度増強されスポットとなり、電波の到来方向を表示する。






補足資料-2
 回転式誘電体型空中線装置内部。二本の黄色い筒が誘電体のポリエチレン。半波長ダイポールは誘電体の基部に装置されている。本空中線の構造は半波長ダイポール2素子のスタックである。



写真提供: photo courtesy of Mr. Arhur O. Bauer
http://www.cdvandt.org/naxos.htm


補足資料-3
誘電体型空中線動作概要
 本空中線はポリエチレン誘電体を装備する半波長ダイポール型空中線2素子により構成されている。ダイポールに取付けられた誘電体の形状は円錐台形で、先端部分には径を合わせた半球が接着されている。誘電体内を伝わる電磁波の速度は自由空間より遅いので、内部では波長が短くなる。短縮率は誘電率の平方根に反比例するので、ポリエチレンの場合短縮率は大凡70%程度と考えられる。このため、誘電体に入った電磁波は屈折してダイポールの中心に向かって収斂する。誘電体の形状が円筒であれば壁面は電磁波の入射と平行となる。しかし、形状が円錐台形のため反射散乱を防ぎ、電磁波を効率よく集める事が出来、結果、サイドローブが小さくなり、指向性・利得が向上する。屈折作用は光の水面に起こる現象と同じであり、この原理の応用が、誘電体型空中線と考えられる。
 電磁波を吸収するダイポール素子は誘電体基部に鋳込まれており、エレメントの長さは誘電体内波長にあわせて短縮されている。給電点は1/4λ分右側に寄せてあるが、これは水平偏波・水平配置のためで、水平偏波・垂直配置の場合は中央となる。当該空中線の利得についてはハッキリしないが、1素子で大凡5db、本器は2素子のスタックであるため8db程度と推測される。
 なお、本式の空中線は独逸空軍が大戦末期に開発したPPI式の航法・爆撃用レーダーBerlinにも使用された。



空中線概念図作成: 安原久悦殿


補足資料-4
 FuMB28/FuG350(ZM4)の装置構成図。この型のNaxosは各種が開発されたが、本機の装置構成、回路は非常に簡潔なため後期型と考えられる。



補足資料-5  FuG350( ZM4)の低周波増幅・波形表示部(SG350Zc)回路図。



資料出典: German TM FuMB28/September 1944


資料番号011

表  題ドイツ空軍マイクロ波帯用電波探知機FuMB- 11・15/Korfu E-351

追加資料
E-351各型と対応周波数
 E-351受信機の原型は1,600-12,000MHzのマイクロ波帯をA-E型の5機種で受信するが、改良型では高周波部差替方式に変更された。E-351C型・E型は局部発振に基本発振周波数1,800-3,530MHzを使用するが、A型・B型は第二高調波を、D型は第三高調波を使用する。同調周波数の可変は局部発振回路を構成する空洞共振器で行う。

E-351C型: 1,660-2,500MHz
E-351E型: 2,500-3,750MHz
E-351A型: 3,750-5,000MHz
E-351B型: 5,000-7,500MH
E-351D型: 7,500-11,000MHz


補足資料-1
 E-351受信機概念図



資料出典: German TM Funk-Horchempfanger E351/ September 1944

E-351受信機原型諸元
構成: Wスーパーヘテロダイン方式
受信周波数: 1,660-11,000MHz(5機種で対応)
電波形式: A3・F3(FM)
周波数変換: 鉱石検波方式
局部発振: マグネトロンRd2Md2(基本発振1,800-3,530MHz)
第1中間周波数: 60MHz
第2中間周波数: 40MHz
空中線: 電磁ホーン型
電源: 交流220V


補足資料-2
 E-351受信機原型前面。




補足資料-3
 E-351受信機原型背面。中央の筒は局部発振用マグネトロンの発振周波数可変用空洞共振器。



写真提供: photo courtesy of Mr. Luca Fusari
http://web.me.com/luca.fusari/page1/page30/E351Korfu.html


補足資料-4
 E-351改良型(高周波部差替式)、前面の同軸は空中線接続用。本同軸コネクターは英国のH2Sレーダーの模倣である。




補足資料-5
 差替式高周波部背面、中央の筒が局部発振周波数可変用空洞共振器、上部の茶色ツマミが差込式鉱石検波器、横から延びるコードはIF出力。共振器と前面パネルの間、右側の円筒構造物が局部発振用マグネトロンRD2Md2励磁用マウント。上部の茶色ツマミの部分がマグネトロンRD2Md2。




補足資料-6
 局部発振用マグネトロンRD2Md2。励磁はマウントに装備した永久磁石。本管はPPI式マイクロ波レーダーBerlinの局部発振回路にも使用された。

RD2Md2諸元
構造: 陽極4分割型
波長: 8.5-16cm(1,800-3,530MHz)
出力: 0.5W
線條電圧: 2V / 0.17A
最高陽極電圧: 150V
磁界: 1,450G
開発: テレフンケン/1944年10月



写真提供: photo courtesy of Mr. Arhur O. Bauer
http://www.cdvandt.org/exhib-detail-2.htm


補足資料-7
 電波探知機Korfuが使用するマイクロ波帯用空中線(電磁ホーン型)の一種。



写真出典: Alfred Price “Instruments of Darkness” Greeenhill Books


補足資料-8
 Korfu/E351受信施設概略図。本施設はE351A・B・D・E型を装置し2,500-11,000MHzを受信する。施設上部には各周波数帯に対応する電磁ホーンが装置されており、回転は手動にて行う。最上部は351E型用の空中線であるが構造は不明。ホーンは水平偏波・垂直偏波に対応するように開口部が前面より見て、菱形となるように取付けられた。



資料出典: German TM Funk-Horchempfanger E351/ September 1944


資料番号012

表  題帝国海軍2号電波探信儀2型

追加資料
22号電探
 本機は水上監視用のマイクロ波電探で、送受信用各電磁ホーン型空中線、送信装置、受信装置、指示装置等より構成され、標的の距離、方位の2緒元をAスコープで測定した。装置には必要な応じ精密距離測定装置が付加され、測距精度の向上が図られた。22号電探の最終型では、独立していた送受用各空中線が単一空中線に統合された。


補足資料-1
 日本無線で試作中の22号電探プロトタイプ(艦艇設置試験型)。電磁ホーン上部が受信用、下部が送信用。受信機は他励式超再生検波方式である。




補足資料-2
 22号電探改-5概念図。右側の距離精密測定装置は必要に応じ付加された。



概念図作成: 安原久悦殿

22号電探緒元(改5以降)
用途: 水上警戒
設置場所: 水上艦船、潜水艦
有効距離: 戦艦37Km、駆逐艦17Km
周波数:3,000MHz
繰返周波数:2,500 Hz
パルス幅: 10μs
送信尖頭出力: 2Kw
送信空中線: 電磁ホーン(直径40cm)
受信空中線: 電磁ホーン
送信機: 発振管マグネトロンM-312
変調方式:パルス変調、変調管S-182 x2(並列)
受信機: スーパーヘテロダイン方式、第1検波鉱石、局部発振M-60、中間周波増幅5段(UZ-6302 x5)、第2検波(UY-76)、低周波増幅2段(UZ-6306 x2)
波形表示: Aスコープ方式
測定方法: 最大感度方式
測距精度:0.5Km
測角精度: 3゜
電源: 3相200V交流電源
重量: 1,320kg(艦艇用)
製造: 日本無線・日立、300台


補足資料-3
 22号電探改5用磁電管及び検波器。左が受信機局部発振用マグネトロンM-60。中央がM-60用マウント、両側の構造物は励磁用電磁石。手前が受信機第一検波用の鉱石検波器。右が送信用水冷式マグネトロンM-312。





資料番号013

表  題帝国海軍マイクロ波帯用電波探知機

追加資料
補足資料-1
 マイクロ波帯用鉱石検波器。写真「37」と書かれたエボナイト製の小筒が、霜田光一先生がマイクロ波鉱石検波器開発時に作られた実験用検波器。下側が開発後、七欧無線により製造された量産型鉱石検波器。左側、ステアタイト製の鉱石検波器は当時米軍のマイクロ波レーダーで使用されていた1N23。




補足資料-2
 電波探知機3型類型。「海軍レーダー徒然草」の安原久悦氏は海軍藤沢電測学校に在学中、マイクロ波用電波探知機を見学された。氏はこの記憶を基に掲示のイラスト画を作成しHPに掲載されているが、構造については以下の様に述べられている。
 「現物は1台だけあったけれども教えてくれる先輩がいなかった。しかし一目瞭然の簡単な仕掛けで三脚上に開口40cm位の電磁ラッパとその後方に茶筒のような伸び縮みできる空洞共振器がついていた。ラッパの奥に広帯域ダイポールが45度傾けて鉱石ダイオードと共に付けられていた。スーパーヘテロダインではないと観察した。こんなチャチな物で敵レーダーを回避できるのだろうか・・・」
 電磁ラッパの中央部、赤く描かれた部分が鉱石検波器である。


イラスト画提供: 安原久悦殿
http://www1.odn.ne.jp/~aac00450/index.html


補足資料-3
 駆逐艦花月に装備された28号A型受信機。



資料出典: U.S. NAVAL TECHNICAL MISSION TO JAPAN E-01


補足資料-4
 潜水艦用可搬式空中線。掲示は400型潜水艦に装備された「48号A型受信機」の可搬式空中線部。電測員は受信機本体に接続した受話器を掛け、キャビティ可変用のハンドルを保持している。水平・垂直偏波に対応するため、パラボラ中央に45°の角度で配置されたリボン型空中線素子はダイポールの変形である。検波用鉱石は空中線素子の間に装置されている。受信機本体(低周波増幅器)は艦内に設置され、コードで空中線部と接続されている。



写真提供:田村俊夫殿


補足資料-5
 掲示は竣工間もない波106潜水艦に装備された空中線各種で、撮影は昭和20年5月である。本写真は海軍電波兵器の開発関係者が残されたもので、裏書きには「昭和20年5月自11至20日於伊予灘波106潜実験」とある。本艦の艦橋には逆探用空中線各種が満載で、電波兵器に関わる実験が行われたことを推測させる。

 艦橋後部、円筒型装置の背後にE-27用ラケット型空中線が装置されている。浮輪の左、円筒形基台の上部に取付けられたテーパー状の棒は昇降式短波用空中線で、必要な場合は空中線部分のみを水面に出し通信を行った。短波用空中線の奥に見えるホーン型装置は隣の潜水艦が装備した22号電探用空中線である。ホーン型空中線に重なり、二本の棒を装置した金物がE-27用無指向性空中線である。艦橋右舷側面には大型パラボラ型反射器付空中線及び、E-27用ラケット型空中線が取付けられている。隣の回転式架台に装置されたラケット型及び小型パラボラ式空中線はマイクロ波帯探知機用である。艦橋前面の最上部からは艦首に向かって通信用空中線が張出ており、その直下にE-27用ラケット型空中線が装置されている。本写真では確認出来ないが、艦橋左舷側面にも同様に大型パラボラ型反射器付空中線及び、E-27用ラケット型空中線が右舷と同位置に装備されている。よって、本艦が装備する電波探知機用空中線は、E-27用ラケット型空中線4基、E-27用無指向性空中線1基、大型パラボラ型空中線2基、マイクロ波帯用ラケット型及び小型パラボラ式空中線各1基の計9基である。

 なお、大型パラボラ型アンテナの用途は定かでないが、エレメントの長さがE-27用ラケット型空中線と類似しているため、ラケット型の代用又は、マイクロ波帯下部周波数受信用空中線ではないかと考えられる。波106潜水艦にはこの後、13号電探用の八木型空中線が装備されたが、艦橋両側面の大型パラボラ型空中線は撤去された。(HP展示物、海軍電波探信儀関連機材、E-27受信機関連写真参照)




補足資料-6
 マイクロ波帯用空中線部。上部が400-1,500MHzに対応するラケット型空中線、本器は下段に取付けられたメートル波帯用ラケット型空中線とは構造が異なる、空中線中央の円形構造物の内部に鉱石検波器が設置されていると考えられる。下部が1,500-10,000MHz用のパラボラ型空中線、空中線素子はリボン型で、中央の構造物内部に鉱石検波器が装置されていると考えられる。



写真所蔵: 独立行政法人国立科学博物館(東京)

contact administrator